「新北海道スタイル」の7つ目のポイントをご存じですか?

北海道は「新北海道スタイル」と銘打って新型コロナ対策7項目を掲げ、北海道民の安全・安心のため厳しいこの状況と日々格闘しています。

「新北海道スタイル」は北海道の主幹産業の一つ、観光マーケットが復活した際に、訪れていただいた観光客の方々の安全はもちろんのこと、お迎えする側の安全も守るためにも重要な取り組みとなっています。

通常不特定多数の方とお会いする機会の少ない私たちのようなコンサルティング業、文筆業といった業種であっても、新北海道スタイルの7つのポイントはほぼ習慣となりました。

この「ほぼ」ですが、皆さんは新北海道スタイルの7つめのポイントをご存じでしょうか。

ちなみに6番目までは、次のようになります。

1. マスク着用・手洗いを徹底します
2. 健康管理を徹底します
3. こまめに換気します
4. 消毒・洗浄します
5. 一定の距離をとっています
6. お客様へ咳エチケット・手洗いをお願いします

これはお客様と接する機会のある業者向けの注意点ですが、今では業者の方に限らずもはや生活に溶け込んでいるものと言えるでしょう。

さて、7番目のポイントですが、正解はこれでした。

7.取り組みをお知らせいたします

別の表現では、

7.店内掲示やホームページ等を活用し、お店の取り組みをお客様に積極的にお知らせします

と、こう記されています。

「新北海道スタイル」は感染拡大防止の観点から、国が示した「新しい生活様式」を北海道で実践するためのものですが、それには多少の犠牲(あるいは不便)が伴います。

どのような業種でも商売にはお客様がいらっしゃいます。

そのお客様にご不便やご面倒をお掛けするのは、サービスを提供する側としては「心苦しい」という言葉に尽きます。

しかしながら、それと引き換えとなるものが人の命となれば話は別です。

お客様の中にはお店のスタッフに「新北海道スタイル」について、不満を口にされる方もあるとのこと。

その心情には共感できるところもございます。

が、そのお客様自身やお店のスタッフ、さらにはその向こうにおられるご家族や大切な方々の命を守ることの優先順位は一番でなくてはなりません。

「新北海道スタイル」に苦言を呈する方も、その内容や何故必要かの真意をご理解いただければ、イライラも少なからず緩和されるはずです。

そういった意味では、この取り組みについて積極的に「伝える」という7番目のポイントは、もしかしたら「新しい生活様式」を実現するため、もっとも重要なミッションなのかもしれません。

ご承知のとおり、新型コロナウィルスの脅威に終わりが見えない今、私たち道民ひとりひとりが各々の幸せを守っていくために、緊張感を忘れることなく、自らが感染拡大の手助けなどしてしまわないよう周囲の人たちとも理解し合い、また話し合いながら、引き続き気を付けて生活していきたいものです。

リクール北海道も「新北海道スタイル」を伝えてまいります。

リクール北海道
諸橋 篤

新型コロナ対策のゴールを見える化する

北海道が、一度解除した緊急事態宣言を再発動。国も特定の都道府県のみに出していた緊急事態宣言を全国に拡大したにも関わらず、毎日感染者数は増え続けています。

そして、4月22日の新型コロナウイルス感染症対策に当たる政府の専門家会議の会見で、新型コロナウイルス感染症対策に当たる政府の専門家会議のメンバーで厚労省クラスター対策班に加わっている北大の西浦博教授が「現状の行動制限は数か月単位で解消を目指したい。一方、通常の生活に戻って感染者が再度増加に転じることがあれば、現在行っている行動制限を繰り返さざるを得ないことも想定している。すぐに日常が戻っていることはなく、この1年は、この状況と多かれ少なかれ付き合っていかなければいけないと考えている」という見解を発表しました。

「国民一人一人が、人との接触をこれまでの8割以上減らすることにより、感染者数を減らしてゆくことができる」という情報は各テレビ局で毎日放送されているのでご存じとは思いますが、これは西浦教授が以前から提唱されていたもので「1人の感染者が他人に病気を移す数の平均値が1より少なくなれば収束に向かう」という理論から計算された数値です。

簡単にご説明しますと、10人が感染しても、次の感染者を合計で9人以内に収める、そして次の感染者を8人以内に収めるということを繰り返すことにより感染者を「0」に近づけてゆくというもの。

極端な例ですが、感染した人が翌日中に新たに2人に感染させるということを繰り返した場合、一か月を待たずに感染者数は日本の全人口を上回ってしまいます。

これが「1以下」と「2」の違いなのです。

「接触8割減」の警告を早くから発信されていた西浦教授の会見には、長期化への強い危機感と説得力があったと同時に「接触8割削減」が思うように実施されていないことへの焦燥感が漂っていました。

確かに、「あなたの大切な人とあなたの命の為に、人と会う機会を8割減らしましょう」と何の強制力も持たない呼びかけをして「8割減」を達成することは難しいでしょう。

国民のモラルを信じて発動している自粛要請には限界があります。

これは日本人のモラルの低さを嘆いているのではありません。

お恥ずかしながら、私自身が「要請」ではいつ終わるかわからない行動自粛を継続する(自らを律する)のが既に困難になってきており、マスクや消毒などで十分に警戒はしながらも「自分は大丈夫だろう」という安易な考えでレストランで食事をしたり、買い物に出てしまっている状況を踏まえ、反省の念を込めての現実的な意見とお考えいただきたい。

中途半端な自粛は、問題が解決しない上ストレスだけが蓄積されていくという最悪な事態が長期化して、社会全体の気力と体力を奪っていきます。

前置きが長くなりましたが、新型コロナ対策自粛ムードの長期化を防ぎ、戦いのゴールを設定(見える化)する方法のお話へ。

ちなみにこの提案は、現在多くの方が様々な意見を発信しておられますが、それらの良い部分(と勝手に解釈したもの)と海外で実施されている施策、そして私の個人的な意見をまとめたものです。

結論から申し上げますと、自宅待機を「要請」ではなく「強制」にするというものです。

具体的な内容は次のようになります。

(1) 自宅待機期間は4週間
この期間は外出禁止。新型コロナウイルスの潜伏期間+予備の2週間。
体調不良や発熱などがあった場合は、自治体ごとに出張でPCR検査を実施。
この期間に感染者を正確に特定し、徹底した治療を実施。
新たな感染者が出た場合は、行動地域を割り出し、濃厚接触者を隔離して経過観察をする。

(2) 自宅待機期間の買い物は週2回 x 2時間 
買物は週に2回 x 2時間。それぞれ指定された曜日、時間帯、および特定の地域のみ外出を許可。
指定時間や地域以外での買い物(外出)を禁止することで、外出する人の数を分散させて密をできるだけ回避する。

(3) 協力金の交付
上記の2項目に違反することなくご協力いただいたご家庭には政府から一定額の協力金を交付。

(4) 違反者への罰則(取り締まりの強化)
回数に応じて、例えば1回の違反で協力金は半額、2回の違反で協力金の対象外とするなど。さらに違反があれば、罰金及び禁固刑も辞さない強い強制力を持ったものが必要。

営業できる店舗の選定方法や、流通はどうするのか、通院が必要な患者の対応は、などの細かい調整が必要となりますが、概要はとてもシンプルです。罰金や禁固刑など少し悲しいご提案ですが、大切な命や経済活動の速やかな再開の為には必要な勇気となるでしょう。

とても厳しい内容に見えますが、これでも人との接触をゼロにすることはできません。個人的にはここまでやらないと「人と会う機会を8割以上減らす」ことは難しいと思っております。

ここまで行動制限と感染者の割り出しを徹底することができれば、経済への影響を最小限に抑え、医療崩壊を防ぎ、救える命が増え、税金の節約にも繋がり、最短で日常の生活を取り戻すことができると考えます。

4週間を長いと思われる方もおられるかもしれませんが、3月半ばに実施していれば、強制自粛はすでに終了しており、今頃日常生活が戻っていた地域があったかもしれません。長い人生において、4週間などほんの短いインターミッションに過ぎません。

また、先の見えない「自粛要請」と違い「自粛強制」は「4週間」という具体的なゴールが見えているので「みんなで、あそこまで頑張ろう」という、新型コロナウイルスとの戦いに対してのモチベーションや国民全員で取り組んでいるという強力な一体感に繋がります。

ニューヨーク州のクオモ州知事は感染を止めるために3月22日にロックダウン(都市封鎖)を発動。その約4週間後の4月19日には「感染のピークは越えた」というコメントを出しました。そして同時に、「抗体検査を実施して、発病しないまま治ってしまった人の数の割り出し」という、今回のコラムで提案した対応策の次のステージにまで進んでいます。

日本と比較してはるかに厳しい状況であったニューヨーク州が、日本よりも先に「感染のピークは越えた」との発表および次の対策を講じているのを見て、今の日本の対応が不十分であることを痛感しました。

病気になったら無理をせず、しっかり休養を取り、元気になったら働く。
早く休めば、早く元気になる。

こんな誰でも知っている基本的なことが、日常生活を取り戻すための切り札になるのではないでしょうか。

リクール北海道
諸橋 篤

ポジティブでアグレッシブな危機管理とは

2月1日に開催された「道北ビジネスプランコンテスト」の最終プレゼンテーションから、早10日。

最終プレゼンテーション以降、新規案件のお声掛けをいただいたり、取引先の方から「最優秀賞おめでとう」と有難いお言葉を頂戴したりと、反響の大きさに大変驚いています。

このような機会をくださいました旭川創業産業プラザ様はじめ、道北ビジネスプランコンテストに関わられたすべての方々にあらためまして深く御礼申し上げます。

さて、今回のファイナリスト5組中4組がインバウンド関連のビジネスプランで、近年の国際化の流れを反映したコンテストとなりました。

そのインバウンドマーケットですが、現在、新型肺炎によるツアーのキャンセルが相次ぎ、今年の札幌雪まつりは過去最高を記録した昨年より71万人もの来場者減少で閉幕しました。北海道のみならず日本中の観光業界に大きな影響がでており、自治体によっては助成金なども検討が始まっています。

観光業界は今回のような外的要因により、予期せぬ危機に対峙しなくてはならないことが多々あります。このような危機を乗り切るのに必要なのは「体力」です。

現在の北海道を例に挙げますと、夏に稼いで冬はその貯金を使い果たし最終的に収支はトントンというビジネスモデルが多く見受けられますが、これでは「体力」をつけることは難しく、震災や今回のように感染症のパンデミック等で観光が著しく落ち込んだ際に持ちこたえるのが困難となります。

私はこれまでに、ニューヨークで同時多発テロ、東京で東日本大震災、北海道では胆振東部地震と、各地で外的要因による観光業界の危機を経験してきましたが、共通して言えることはどの外的要因も観光業界の致命傷にはならなかったという事実です。もちろん、それらの要因により閉店せざるを得ない事業も見てまいりました。しかし観光というビジネスには、みなさんが思っているよりも大きなエネルギーがあり、どの地域も必ず復興を果たしています。

これらのことから、外的要因によりマーケットが冷え込んでも、再び活気を取り戻すまでの間、持ちこたえられるだけの「体力」を温存することができていれば、危機を乗り越えられる可能性が高くなると言えるでしょう。

これまで閑散期として諦めていた時期に新規マーケットを開拓し、年間収支をトントンから黒字にシフトさせ、いつ訪れるか予測のつかない危機に備えることができるかどうかが課題になります。

自治体や政府は事が起こってから助成金を投入するだけではなく、事が起こる前に危機に耐え得ることのできる「体力」を確保するべく、新しいマーケットの開拓に費用や知識を投じるプランも選択肢に入れる必要があるのではないでしょうか。

リクール北海道は閑散期に呼び込める新しい販路の一つとしてインバウンドマーケットをご提案しており、その第一ステップとして東京オリンピックに焦点を合わせ、英語環境の整備に取り組んでおります。

観光業界の現状は厳しいものですが、この状況だからこそよりポジティブでアグレッシブな危機管理に関心をお持ちいただける自治体や施設が増えることを期待しております。

リクール北海道
諸橋 篤

「2019年インバウンド人気上昇都道府県ランキング」に見る正攻法の強み

 

楽天トラベルがインバウンド観光客からの支持を急激に伸ばしている都道府県を発表しました。

集計方法はとてもシンプルで、2019年1月1日~12月31日までの楽天トラベル外国語サイト経由の予約人泊数をもとに、対前年比でどのくらい数字を伸ばしたのかを比較したランキングです。

ちなにみ「人泊数」とは「人数x泊数」という意味で、「2人で3泊」なら「2人x3泊」で人泊数は「6」となります。

まず、最初に順位からお伝えいたします。

1位 新潟県 +85.2%

2位 岐阜県 +72.2%

3位 山形県 +64.7%

4位 福島県 +56.2%

5位 群馬県 +52.1%

「思った通りの順位だね」という方は少数派のはずです。私がぱっと思い出せる訪日外国人に人気と思われる都道府県は、一つもランクインされていませんでした。

ランキングは5位までしか発表されていないため北海道が何位だったのかはわかりませんが、京都や東京なども含め、もともと人気の高い都道府県は実際の人泊数では高順位になるものの、伸び率での健闘は難しいのでしょう。

さて、対前年比85%増の新潟県ですが、楽天トラベルの分析を見てみると「冬のスキー需要が好調な「越後湯沢・苗場」エリアが+105.7%(約2.1倍)、「上越・糸魚川・妙高」エリアが+95.8%(約2.0倍)と大きく伸長しました」とのこと。

その他の地域もスキー(雪)・温泉・文化(白川郷など)を軸に外国人観光客の人気を伸ばしているようです。

文化的な側面が弱くはありますが、北海道にも上質な雪とすばらしい温泉がたくさんあります。

旭川市に関しては、一般社団法人 大雪カムイミンタラ DMOが「マウンテンシティリゾート」というコンセプトで旭川市街地を中心に1市7町に点在する個性的なスキー場を「テーマパーク」のように打ち出しています。

マウンテンシティリゾートには旭岳のスキーコースを含め、プロレベルのツワモノたちから初心者までが楽しめるバラエティに富んだコースが8か所、もちろんスキー場の近く(またはスキー場に隣接して)温泉も付いています。

道北地区のパウダースノーは世界的にも有名で、世界中からその雪質を求めて多くのスキーヤーが訪れます。

しかしながら、北海道がターゲットにするべきは果たして「雪質にうるさい上級スキーヤー」だけでしょうか?

実はわたくし東京生まれでスキーは一度もしたことがありません。理由はいくつかありますが、一番を挙げるとしたら「準備が面倒」だからです。

ですが「普段まったくスキーをする機会はないけどせっかく北海道に来たのだからちょっとくらい体験はしてみたい」という気持ちは常に持っています。

この「準備は面倒だけどちょっとだけ体験したいマーケット」、これが意外と無視できないのではないかと考えています。

例えば数年前から流行り始めたグランピング。

「キャンプはやってみたいけど、準備が面倒マーケット」をうまく取り込んだ好例です。豪華なテントは既に設置済で、バーベキューの食材や火起こしまでセットになっています。車で乗り付けてキャンプを楽しみ、後片付けも不要という上げ膳据え膳なシステム。当然費用は通常のキャンプよりは高額となり、本格的なキャンパーからは邪道とも言われています。

グランピングを利用する人たちは必ずしもキャンプ好きの人たちばかりではありません。でありながら、この疑似(?)キャンプ体験から本格的にキャンプにハマる人たちがいるのもまた事実。

スキーやウエアをレンタルで一式揃え、さらにレッスンも受けたいとなればグランピングのように費用は当然割高になるでしょう。しかし雪の少ない地域から訪れた人たちにとって最高の雪質を誇る北海道でスキーを体験できるのであれば、高いとは感じないはずです。なぜなら、その10倍の金額を払っても普段は絶対に体験できない特別なアトラクションなのですから。

スキー未経験者でも思い立った時に気軽に体験ができる仕組みを作ることができれば、スキー人口の増加につながり、マーケットの裾野が大きく広がるはずです。インバウンドマーケットだけではなく、日本人観光客でも私のように「スキーは未経験だけれど、一度はゲレンデに立ってみたい」と思っている人が少なからずいるでしょう。

“ビギナーにやさしい、世界一お手軽にスキーを満喫できるシティリゾート”

我ながらお粗末なコピーではありますが、国内外問わず「ちょっとだけスキーを体験したいマーケット」には刺さるかもしれません。

先日遠軽町にオープンした道内125か所目の道の駅「遠軽 森のオホーツク」はスキー場に隣接していて「手ぶらでもスキーが楽しめる」とのこと。価格はスキー・ウエア・リスト券・食事がセットになった一番高額の「レンタルフルパック」でもたったの10800円です。近くに温泉もありインバウンドの「ちょっとだけスキーを体験したいマーケット」にはピッタリなのですが、ホームページが日本語のみなのが残念。ぜひ、リクール北海道にお手伝いをさせていただきたい。

話が少し逸れましたが…。

「スキー未経験者に世界一やさしい」を道北の文化にまで昇華させることができれば奇抜なアイデアなどはなくとも、雪・温泉・文化の正攻法3点セットで、世界のステージでも十分に勝負できると、私は自信を持って言えます。

リクール北海道 諸橋 篤

 

 

 

大人がワクワクできるクリスマスのススメ

比布町の村中一徳町長が「良佳プラザ・遊湯ぴっぷ」に飾られたクリスマスツリーをツイッターで紹介しておいででした。

ツイッター内で「子供のころのワクワク感は完全に失われておりますが…」という町長のコメントを拝見した時に感じた、日本と海外のクリスマスの在り方の違いについてお話ししたいと思います。

クリスマスというと海外では一年で最も盛り上がるイベントであり、町のいたるところに施された華やかな飾り付けに子供大人関係なくテンションは上がり、興奮を抑えることはできません。

ホワイトクリスマスとなるとさらに特別感が増します。白い雪と華やかなオーナメントの組み合わせは最強ですから。

しかし、なぜクリスマスを盛り上げる条件がこれだけ揃っている北海道なのに、子供たちしかワクワク感を得られないのでしょうか。

大人になって子供の心を忘れてしまったからだと言う人もいるでしょう。それも一つの要因かもしれませんが、必ずしもそれだけではないと思えてなりません。

いつの時代も大人が目を輝かせワクワクしながら本気で取り組んでいることに子供たちは憧れます。

少し話が逸れますが、例えば地域のお祭りを例にしてみましょう。

町内のお兄さんやお姉さん、おじさんやおばさん、そして長老たち大勢の大人が長い時間をかけて目を輝かせながら本気で準備をした勇壮なお祭りは、見ている子供たちを「自分もいつかあの舞台で太鼓をたたきたい!」「見るだけではなく、お祭りに参加したい!」という気持ちにさせます。この時子供たちが抱くワクワク感は本物です。もちろん大人たちは子供たちの何倍もワクワクしながら、お祭りを楽しんでいるに違いありません。

一方、日本のクリスマスはというと、残念ながらまだまだ大人の本気が伝わってきません。イオンなどの大型商業施設の館内では頑張っているところもありますが、「町の雰囲気づくり」にまでは貢献できていないというのが正直な印象です。やはりクリスマスは町全体で(少なくとも町のメインストリートは)盛り上げていただきたい。このままでは大人だけでなく子供たちも「クリスマスだからって別にワクワクしない」などと言い出しかねません。

そうなったらあまりにも寂しいですし、何より北海道の雪がもったいない。

私見を述べさせていただくと、各市町村は地域をあげて「息をのむような」クリスマスデコレーションを施すべきと考えます。誤解のないように申し上げておきますが、多くのお金をかけて地域全体を豪華にクリスマス色に染めましょうというお話ではありません。1本の素敵なクリスマスツリーだけでも素敵な空間を演出することは可能です。

ポイントは3点。

まずは町のシンボルとなるクリスマスツリーを立てる。できれば毎年本物のモミの木を運んできてほしいですね。周囲にモミの木の香りが漂っていれば言うことなしです。点灯式などのイベントでクリスマスの到来をアピールして、市民のクリスマススイッチをオンにして差し上げるとよろしいでしょう。

次に、イルミネーション(電飾)の色。最近は白と青のLEDが主流となっており、それはそれで素敵なのですが、やはりクリスマスと言えば赤と緑の電飾は欠かせません。赤や緑に加えオレンジなどのカラフルでオーソドックスな電飾が真っ白な雪を彩り、極寒の中に温かみのある華やかなクリスマスムードを演出してくれます。

最後は、毎年少しずつグレードアップしていくこと。いきなり完成形を求めるのではなく、無理せず毎年少しずつ工夫を取り入れながら町が一体となって、海外の飾りつけなどを参考にしながら時間をかけて魅力的なストリートを作り上げてください。

街路樹や街灯の飾りつけは自治体が担当し、町のメインストリートにお店を出されている方々は、華やかなデコレーションを店舗同士で競い合い、地域がOne Teamとなって訪れた人たちを驚かせてみてはいかでしょう。

北海道には「クリスマス映え」するであろう素敵なストリートがたくさんあります。

旭川の買物公園、美瑛や増毛町、それに個人的に前々から気になっている下川町のメインストリートなど数え上げたらキリがありません。ところが、それらのストリートからはクリスマスに対する熱い思いのようなものが残念ながら伝わってまいりません。

大人たちが目を輝かせてワクワクしながら、他町に負けじと本気で取り組んだクリスマスデコレーションは、いつしかきっと地域のプライドとなり、子供たちだけではなく大人の心もワクワクさせるパワーが必ず宿ります。

「クリスマスだからあの町に行こう」と思わせ、訪れる人の期待を裏切らず、何度でも足を運びたくなる自慢のクリスマスストリート。

どうでしょう、今から始めてみませんか。

そしてそう遠くない未来、道内・国内のみならず海外からのお客さままでもが「今年もクリスマスは北海道で過ごそう」と毎年12月の北海道旅行を計画するようになったなら、こんなに素晴らしいことはありません。

 

リクール北海道
代表 諸橋 篤